北朝鮮と中国、お互いに対する狙い①


 拉致問題は国民の生命が脅かされ、ないがしろにされているという重大な問題です。その全面解決の入口として日朝平壌宣言の破棄が必要であるという説明をしてきました。そして時々、国民の財産を守れ、とも書いてきました。日朝平壌宣言拉致問題の解決を抜きにして日朝の国交正常化をし、莫大な経済支援を約束しているからです。
 
 この北朝鮮への経済支援を狙っているのは北朝鮮自身だけではなく、周辺国も狙っています。核・ミサイル問題に決着がつけば、周辺国はジャパンマネーを狙って日朝平壌宣言に基づいた国交正常化と経済支援を早くしろと圧力を加えてきます。
 周辺国にとっては「日本人の」拉致問題など関係ない話です。
 
 
 今回は誤解されがちな中朝関係について。
 最近ではだいぶ認識も変わってきたように思いますが、ほんの数年前までは北朝鮮は中国の属国である、という認識が一般的だったのではないかと思います。とても複雑な関係なので正確に説明できるかちょっと自信がないのですが、この中朝の対立と日朝国交正常化は切り離せず、拉致問題にも関わってきます。大事なところだけでも伝われば幸いです。
 
 
 一般的な北朝鮮の認識は、昔はロシア(ソ連)の子分で途中から中国の子分になったどっちつかずの弱小国で、ミサイル開発や核開発を行う悪の独裁国家というイメージだと思います。そして中国の援助なしには生きていけない属国だから、北朝鮮を裏で糸を引いているのは中国なのだ、とも考えられているでしょう。
 ここで少し認識をあらためて欲しいのは、北朝鮮金王朝は中国の属国に甘んじるつもりはない、ということです。大国に挟まれた弱小国が、いつか自主性を勝ち取るために生き延びるには子分面をしていなければならなかったのです。じっと我慢をしながら自主性を確立するまでの時間を耐え抜いてきたとも言えます。
 瀬取りなど北朝鮮への制裁逃れが見られますが、国家としての姿勢と不良分子を見間違わないように気を付けたいものです。日本国内にも国家の姿勢に反した不良分子はいるのですから。
 
 
 北朝鮮が自主性の確立のために目論んだ方法は、中国を手本としているように思えます。中国はロシア(ソ連)の支配に対抗するための力として、
 
核兵器を持つこと
日中国交正常化による日本の援助を手に入れること
 
 上記により武力と経済力と技術力を手にし、自主性を確立しました。北朝鮮は今、核保有国として認めてもらおうとしており、日朝国交正常化による日本の援助を手に入れようとしています。そして順番としては核保有国として認められることの方が先決でしょう。
 北朝鮮は隣接する中国東北3省と比較しても、人口は1/5、面積は1/6弱、GDP1/20くらいだったと思います。日朝国交正常化が実現すると中国による環日本海経済圏構想が推し進められ、羅津港を始めとした北朝鮮の港を経由し、中国東北3省と日本の間でヒト・モノ・カネが激しく行き交うことになり、北朝鮮は中国に飲み込まれてしまいます。
 そうならないために、北朝鮮は自主性を守る一線、核兵器が絶対に必要だと考えているのではないでしょうか。理屈としては頷けます(日本国民として容認できるかどうかは別として)
 大国に挟まれた小国が、自主性を持った独立国であるために、あらゆる手を尽くしているのです。
 
 ちなみに日本と北朝鮮の比較ですが、人口は北朝鮮の5倍、面積は3倍、GDP(MER)は200倍です。これだけ圧倒しているにもかかわらず、拉致被害者としての国民の命が取り戻せず、莫大な経済援助の約束としての日朝平壌宣言が破棄できず、ただただ奪われようとしています。
 
 
 書ききれなかったので中国についてはこの次に。