北朝鮮と中国、お互いに対する狙い②



 一方の中国はどうでしょうか。
 
 中国は中国で、日朝国交正常化してしまえば、あとは北朝鮮を飲み込める、どうとでも出来ると考えているフシがあります。北朝鮮が核を持とうが何しようが、北朝鮮ごと牛耳ってしまえば問題ないといえばないでしょう。

 借金の形に手に入れた、茂山鉱山の採掘権も羅津港の利用権も持っています。インフラ整備の資金は日朝国交正常化と同時に日本が出してくれることが決まっています。そればかりか、日本が主導権を握るADB(アジア開発銀行)が中朝国境付近・豆満江開発の資金援助もしてくれます。日朝平壌宣言の援助内容を考慮すれば、豆満江だけでは済まないかもしれません。鴨緑江周辺の開発も行われるのではないでしょうか。

 日朝国交正常化を皮切りに環日本海経済圏構想も進みます。中国・東北3省が日本海側に出るには、北朝鮮もしくはロシアを経由しなければなりません。あと少しというところで海に面していないのです。だから環日本海経済圏構想には羅津港が必要で、日朝国交正常化が必要なのです。

 景気が低迷している東北3省を発展させたいと考えている中国にとって、豊富な援助内容を約束した平壌宣言による日朝国交正常化は、中国にとっても一発逆転の夢のカードなのです。それを考えたら北朝鮮の自主独立など些細なことに思えてくるでしょう。事を進めてしまえば莫大な利益が手に入るのですから、あとでじっくりと金で北朝鮮を支配していけばいい。

 だから中国にとっては、現時点の北朝鮮政権が独立心を持っていようが、服従姿勢であろうが、どちらでも良いのです。強いて言えば民主主義国が出来ては困る(西側陣営になられては困る)ということくらいでしょうか。
 

 しかし中国にとってはそうでも、周辺国にとっては違います。核・ミサイル問題が解決しない限り、米国が容認せず、米国が容認しなければ六者協議の約束としての日朝国交正常化は出来ません。日本を単独で動かすには拉致問題が障害となって立ち塞がります。そして金正日の流れを組む金正恩政権は拉致問題の全面解決を望んではおりません。
 
 ここへきて、近年では「もう金正恩政権ではいつまでたっても日朝国交正常化に向かわせることはできないのではないか?米国が北朝鮮に民主主義国を作らないのであれば、金正恩排除を促す北朝鮮制裁に手を貸しても良いだろう」という判断が働き、米中会談で合意がなされ、中国による本格的な経済制裁が進むようになったのです。
 平たく言えば、「金正恩政権のままだといつまでたっても金が手に入らないからそろそろ排除するか」といったところでしょう。
 
 
 
 
 中国も北朝鮮も、お互い敵対しつつ、お互い日朝国交正常化を望み、双方とも日本の援助で、それぞれの望む起死回生の策として考えているのです。
 
 人の金でなに都合の良いこと考えているんだ!
 
 …と、お金を取られる日本国民としては思うのです。
 特に私のような平民は、外務官僚や政治家や日本海地方自治体や経済界や経済界から口止め料をもらう保守言論人・保守活動家とは違いリターンなどありませんから、尚のこと腹が立つわけです。
 
 同じく平民の皆さんは、日朝平壌宣言に腹が立ちませんか?