2001年8月10日の救う会全国協議会ニュースより

・増元さんからのレポート
(こちらの方が見やすいかもしれません)
 
以下、増元氏の記述より抜粋。
 
『ある方は、「金正日体制を維持させる食糧支援、国交正常化など実現した場合貧窮する大勢の人民を助ける事など出来なくなり、又、そんな人民が日本政府に対し日本人にたいし「恨み」こそ抱くだろうが、「感謝」などするはずがない。またぞろ朝鮮人民の反感を買うだけになる。」とおっしゃっています。』
『我々が何故「現北朝鮮政権」との「国交正常化」に反対なのか?前にも述べたように「多くの北朝鮮人民を苦しめる現政権の延命につながる」からです。「国交」を結べば多額の金がODAの名のもとに「北」につぎ込まれ、それにより潤うのは「日本の大手ゼネコン」と「政治化」そして「金正日体制」であるからです。』
 

 金正日から金正恩に変わりましたが、本質的な部分に変わりはありません。金正恩体制のままで、国交正常化・賠償・援助により金正恩体制が延命することは、「抑圧された朝鮮人民」の抑圧も延命されることになり、朝鮮人民の反感を買う、ということです。
 今後、核問題が周辺国と和解に至ることがあれば、拉致問題とは関係なく国交正常化と経済援助が日本に求められるようになります。平壌宣言を守ったままだとすると、ここに至って粘れる方法があるとすれば、拉致問題で一歩も引かずに、一気には国交正常化をせず、拉致被害者と経済援助を交換する形で小出しに緊急人道支援という形をとり、金正恩政権が内部崩壊するのを待つしかありません。
拉致問題が本質的に解決しないと本腰を入れて経済援助はしてくれないようだ」
 という焦りを与えることが出来れば、体制内部に動揺を与えることも出来るかもしれないので、そういう意味でもチャンスは生まれると思います。
 しかしかなり粘り強い交渉を強いられることになりますので、今の日本政府および周辺状況を鑑みると、あまり期待できそうにもありません(そもそもそれだけの強さがあればここまで日本が追い込まれることにはならなかったと思います)
 また、日本政府からすれば、敵と対決するよりも、日本国民を押さえつける方がずっと楽でしょう。
 

『又、「拉致」が解決されないまま「国交」が成されれば、「北朝鮮」に「拉致」など解決しなくても、白を切って居つづけても「金」は日本から盗れるだけ盗れるという誤ったメッセージを送ることになるし、最悪の場合抹殺されかねないからです。』
『日本人の大半のコンセンサスを得ている「拉 致事件」を無視し、「国交正常化」だけを先行させようとしている貴方達は、この事件が真実であり、又、「国交」がなされ被害者が抹殺された場合どのように責任をおとりになるのでしょうか?ただ、誤って済む問題ではありません。』
 

 蓮池薫さんは、拉致された自分たちが招待所で保護されている意味を考え続け、「自分たちは援助を引き出すためのカードだ」と結論付けていました。もちろん北朝鮮が拉致した当初の目的は工作活動ですし、使い終われば抹殺されてもおかしくないのですが、拉致問題が明るみになったため、国交正常化と援助が滞りなく進むまでは不用意に手出しできなくなった一方、日本が援助を渋る場合に拉致被害者の命を盾にすれば日本の世論を動かすことができるカードにもなるのです。
 拉致被害者の命が北朝鮮の手の中にある以上、100%の拉致の情報も北朝鮮の手の内にあります。拉致問題の全面解決には、北朝鮮が自ら動く様に仕向ける必要があります。国交正常化や経済援助の約束こそが拉致被害者を生存させることになっている半面、使い方を間違えばほとんどの拉致被害者が帰ってこなくなります。北朝鮮には拉致被害者を帰したくない理由もありますから(過去のブログに書きました)
 日本の唯一にして最大の、国交正常化と援助というカード、これを見直すそぶりもみせずにいる以上、ほとんどの拉致被害者は帰ってくることはないでしょう。