安倍政権とは何だったのか ~安倍政権を信仰した草の根の運命は~
安倍政権はリアリストの政権として、保守的な本音を持ちつつ、決断は保守とは限らない政権です。まとめていえば、
「日本のナショナリズムを抑えつつ国際社会に迎合し、穏便に事を進めながら米国の遊泳区域の範囲内で日本の主張をする。不可能とあらば国民を犠牲にする。それでも結果として日本国の国益であるに違いない、という功利主義が根底にある」
とでも言えばよいでしょうか。だから少数の拉致被害者を見捨ててでも、東アジアの管理者である米中の命令に逆らわないことが日本の国益であると考えるのです。米国の命ずる朝鮮半島問題の尻拭い=北朝鮮経済支援=日朝平壌宣言、中国がホスト国である六者協議で約束した北朝鮮経済支援=日朝平壌宣言、これが破棄出来ません。
北朝鮮は日本の経済支援が無ければ国を再興することが出来ないことを理解しつつ、日本がこれを破棄出来ないことを理解しています。だから中国からの独立と日本から金をもらうことが目的なのに、米国との交渉を要求しているのです。
正しい情報を読み、ギリギリの交渉をした結果、北朝鮮はあんなにボロボロの国にも関わらず、日本に勝ち、中国からの独立の武器・核兵器の保有という、手段の獲得としては両方を勝ち取りつつあります(核兵器の保有と日本の経済支援だけで中国からの独立が果たせるかどうかは別として。それはともかく、日本の拉致処分と経済支援の獲得は果たしつつある)。
・上記を支えつつ、経済発展するという併進路線を維持するための日本からの経済支援
再度申し上げますが、北朝鮮は上記を勝ち取りつつあります。
以前にも述べましたが、米中の管理する東アジアにおいて、米国側の被支配国である日本・韓国。中国側の被支配国である北朝鮮。この枠組みの中から北朝鮮は独立を果たそうと国家の生命を削りながら米中と戦っています。米国の被支配国の遊泳区域から出ようともせず、安穏と暮らしている日本が拉致被害者を還せといっても、北朝鮮が聞くわけがありません。「拉致問題が最優先ではない米国と」「拉致問題以外で合意する北朝鮮が」「拉致問題含めてすべてを宗主国・米国に委ねる日本を処分する」のです。
国民の生命と財産が国家の礎であるならば、それを他国の圧力で見捨てた日本は独立国ではありません。かつて金正日は独立を捨てた国家は死んでいる、と言いましたが、独立をしようとしている北朝鮮が死んでいる国家と交渉をすることはありません。
さて、冒頭で安倍政権は日本のナショナリズムを抑える、と書きました。振り返って見れば、安倍総理は靖国参拝をせず、先祖を貶めて日韓合意に至りました。これらが良かったかどうかはとりあえず置いておいて、いわゆる保守言論人がなぜこれを看過してきたかです。安倍政権ならなぜこれが許されるのか。
並べた方が見やすいかもしれません。
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その保守系団体が著名な保守言論人を抱え、報酬を支払い共犯者となる
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在籍している保守言論人が草の根の保守活動家を(結果的に)抑える。
保守言論人もお金が無くては食べていけません。とはいえ、スポンサー批判も、スポンサーを紹介してくれた安倍政権批判も出来なくなってしまいます。その保守言論人を信じ、安倍政権を信仰し、批判する者を内容問わず激しく攻撃してきた草の根の保守活動家は、後戻りできない(いまさら安倍政権批判に転ずることが出来ない)のではないでしょうか。アスベルは蟲を殺し過ぎたのです。特に拉致問題での過ちは、国民の生命に関わっており、なおのこと正面から向き合うのは難しいでしょう。
「保守的志向を持つにも関わらず、国益を損ねる行動をしてしまった人達」
は、安倍政権に殉じ、駆逐されていく運命のような気がします。