蓮池薫さん「拉致被害者帰国へ政府の戦略と世論の支持を」


蓮池薫さん「拉致被害者帰国へ政府の戦略と世論の支持を」
NHK NEWS WEB 12月15日


  北朝鮮に拉致され、その後、帰国を果たした蓮池薫さんが名古屋市で講演し、「『拉致被害者は死亡した』という北朝鮮の説明は受け入れられない」と話し、残された被害者の帰国に向けた政府の戦略世論の支持を求めました。
 蓮池薫さんは、昭和53年に新潟県から北朝鮮に拉致され、平成14年の日朝首脳会談のあと、24年ぶりに帰国を果たしました。
  15日、名古屋市で講演した蓮池さんは「帰国を果たせてからことしで16年たったが、帰国した5人以外の拉致被害者は誰1人、日本に帰れていない」と訴えました。
  そして、「問題は『被害者8人は死亡した』という、北朝鮮のずさんな説明にある。被害者の安否に関するこうした報告書はでたらめで、絶対に受け入れられない」と語り、北朝鮮が従来の説明を覆すかが最大の焦点だと指摘しました。
  そのうえで日本政府に対し、「核問題が前進しても、拉致問題が解決しなければ日本は協力できないという姿勢を堅持すべきだ。と同時に、被害者をすべて帰せば大きなメリットがあると、北朝鮮に具体的に示さなければならない。それでも北朝鮮が誠実な対応をとらなければ、政府が収集してきた被害者の生存情報を使う戦略を立てることも必要だ」と訴えました。



 蓮池薫さんの名古屋講演の報道です。
  個人的には蓮池薫さんの発言は、いつも緊張感のある表現と感じています。北朝鮮と日本政府双方から注視されているでしょうから、当然でしょう。

 今回は個人的な推測です。話半分にお読みください。


 上記報道内容の重要そうなところを赤字にしてみました。そこだけ抜き出し、こういうことじゃないかな?というお話です。
  赤字で示したところについて、個人的見解です。


政府の戦略
北朝鮮援助と引き換えに拉致被害者を取り戻すこと


世論の支持を求め
(拉致被害者を取り戻すために)北朝鮮援助の容認を世論に訴えている


平成14年の日朝首脳会談のあと、24年ぶりに帰国
2002年に調印した日朝平壌宣言により、帰国できた身であるということに注意。


拉致問題が解決しなければ日本は協力できないという姿勢を堅持すべき
被害者をすべて帰せば大きなメリットがある
拉致被害者の帰国と引き換えに、国交正常化・経済援助という大きなメリットを北朝鮮に与える


北朝鮮が誠実な対応をとらなければ、政府が収集してきた被害者の生存情報を使う戦略を立てることも必要
蓮池薫さんが日本政府にもたらした拉致被害者の情報



(まとめ)
  大雑把な説明ですが、安倍政権の拉致問題(北朝鮮問題)に対する当初の取り組みは、
「核・ミサイル・拉致という北朝鮮問題において、金政権は対話出来るような相手ではないという米国と共通の認識を持ち、日米韓包囲網を形成。経済制裁で金政権に内部崩壊(クーデター)を醸成する。さらに国際世論を巻き込み、それを以って中国を引き込むことで、内部崩壊の決定打とする。内部崩壊後、あらたに樹立した北朝鮮の政権と、国交正常化・経済支援と引き換えに拉致問題を解決する」
というシナリオだったと思われます。


 拉致被害者、家族、および周辺協力者は、経済支援と引き換えに拉致被害者を取り戻すという政府方針を信じ切っているように思えます。しかし、それが通用するのは、
・金政権崩壊後の新政権
・もしくは金政権と話の出来る日本政府
という前提ではないでしょうか。


 韓国で朴槿恵大統領が失脚。親北朝鮮の文在寅政権が誕生、日韓合意は反故にされ、日米韓包囲網は崩れました。「金政権とは対話は出来ない」という米国の姿勢も、トランプ政権の誕生、米朝会談によって崩れました。安倍政権は対米服従ですから、米国が金政権と対話となれば、金政権と対話をしなければなりません。金政権後の新政権ではないのです。


また、金政権と話の出来る日本政府は2002年に日朝平壌宣言を結んだ小泉政権です。(どちらに正義があるかどうかは別として)北朝鮮に戻すという約束を破って拉致被害者5人を日本へ帰国させた安倍晋三が今の総理大臣であり、かつ、米国と経済制裁を強めた政権でもあります。金政権と話の出来る日本政府ではありません。

 
 そして今、金政権と対話をしようとする安倍政権は、相手をしてもらえなくなりました。金正恩は、米国と対話することで、米国経由で日本に要求を飲ませる方針でいます。その行く先が、「拉致被害者は帰らず、国交正常化し、経済援助も延々と行われる」という、日本国民にとっての最悪の結果です。

北朝鮮に従米を見抜かれた安倍総理


…上記ブログで参照にした週刊文春の記事は、よく取材したなぁと思います。


 赤字で紹介した中で最後に〔北朝鮮が誠実な対応をとらなければ、政府が収集してきた被害者の生存情報を使う戦略を立てることも必要〕とあります。しかし、安倍政権の姿勢は、「安倍総理拉致被害者が何人いるか分からない(拉致被害者の情報は持っていないですよ、という姿勢)」です。私の個人的見解は、
蓮池薫さんのもたらした情報含め、日本政府はそれなりに拉致の情報を持っている
・しかし、拉致情報を基に拉致認定してしまうと、取り戻せなかった時に批判される恐れがあるため、情報および情報を持っていることを公開していない


 こんなところでしょう。自前の情報で自主的な外交をする勇気のない安倍総理のやりそうなことではないでしょうか。自主的にやる勇気がないので、周辺国に「拉致問題をよろしく」と他国への協力を求めているのです。他国への協力といえば聞こえは良いですが、自分でやる勇気が無いだけです。こういう姿勢に理解を示してはいけません。あくまで「自主的に自国民を取り戻す最大限の努力をしたうえで」行うことでしょう。そうでなければ、他国は誰も協力してくれませんよ。あるとすれば、
・中国:ウイグルチベット、台湾、尖閣南シナ海などで譲歩する
・ロシア:北方領土で譲歩する


 このぐらいのバーターだったら協力してくれるのではないでしょうか。ちなみに、現宗主国の米国に対してはすでに譲歩しきっているので交渉の余地はありません(反旗を翻すというのは有効ですが、譲歩・バーター・協力とは少々異なります)。

…ところで、拉致問題で他国の協力を得るために、上記で譲歩するといったら、どう思います?