マスク高騰について

 コロナウィルスの蔓延によりマスクが世界的に不足。マスクの需要が急激に増したことにより、不織布をはじめ原材料そのものが高騰しています。

 とはいえ、そのこと自体はさほど価格に影響は無かったと思います。もともと中国で製造した原価は1枚1円もしなかったはずです。それが例え2倍3倍になっても、2円3円です。

 しかし、中国の製造工場に「10円で買います」「20円で買います」という業者が現れました(もしくは製造工場から取引先に持ち掛けた)。この状況なのでその値段で仕入れても売れるからです。中国の製造工場としても、従来の販売先に10倍や20倍で売ることはしづらいです。「便乗値上げだ!」と文句を言われてしまうため、せいぜい原材料費の高騰分とフル稼働の人件費分の値上げが認められる程度。それであれば、「製造が追いつかない」という言い訳で従来ルートへの供給を絞る一方で、高く買ってくれる新規取引先に増産分を横流しした方がよほど儲かると考えるでしょう。

 こうして従来ルートの終点、日本の薬局やコンビニなどで、なかなかお目にかかれないという状況が出来てしまうのではないでしょうか。

 

 では10円や20円で買われたマスクはその後どうなるか?日本国内での話を例にします。

 この高値で購入していった業者は、マスク販売でいえば新参者で、薬局やコンビニといった大手チェーン店へのルートは持っていないことが多いです(そのまま持ってきただけなので、大手チェーン店の店頭で販売できるようなパッケージでもないと思う)。

業者は具体的に言えば、防毒マスクや防塵マスクなど工業向けマスクを扱っていた業者や、アパレル関連、繊維など。一般マスクの販売をしていたわけではないが、中国の製造工場と取引をしていた、あるいは近いところにいた業種が多いと思われます。新参者で販売力が不安定なため、大きいロットで運ぶ海上輸送コンテナではなく航空便で運ぶことも多いです。当然送料はコストに数十円単位でかかってきます。航空便ですよ?航空便で運んできているんですよ?

 また、ネット販売を除けばエンドユーザーに直結するような窓口もないため、中小販売店などをいくつか経由し、エンドユーザーに届くころにはだいぶ足の長い商流になっている場合も珍しくありません。一枚60円~100円という末端価格になっても仕方ないような気がします。

 従来の商流とはだいぶ違う入り方をしているのですから、従来と末端価格がだいぶ異なることもあり得るわけです。理想がまかり通ると思ってしまっている日本の国民性を見ると、理想ばかりのリベラルの毒が手遅れなぐらい浸透していると言わざるを得ません。

 

 物が無いよりも、高くても店頭に置いてあるお店は立派だと思います。高すぎれば買ってもらえないだけなのですから。無い物はいくらお金を積んでも買えません。欧米に負けない購買力で仕入れなければならない今の状態で、置いてあるだけ称賛ものですよ。文句を言うなら自分でマスクを作ればいいと思います。 (訂正中) ムカムカしながら書くと、余計なことまで書いてしまいますね。