~拉致問題における最悪のシナリオ、米朝対話~




朝鮮半島における昨今の報道をみると、拉致問題における最悪のシナリオの可能性を、認めざるを得ない状況になってきました。先週のツイデモ時のときの自分を振り返ると、見て見ぬフリかのようです。正直に言えば、せめて金正恩排除後からスタートする日朝関係でありたいとすがる思いでした。
文春年末号で池上彰氏と佐藤優氏の対談、軟着陸が99.9%。認めたくはないのですが、認めざるを得ない状況となりつつあります。
 
南北会談後、朝鮮半島における緊張緩和ムードが作用したのか、米国トランプ大統領からも圧力優先から対話優先と見間違えてしまいそうな様子が伝えられるようになってきました。
米国におけるタイムリミットは、米国に届く核・ミサイル開発の完了まで。これが完成してしまうと、万が一の暴発で自国を危険に曝さないためにも、米朝和解は大いにあり得ます。
 
 
 
北朝鮮の核・ミサイルを中国、ロシア、韓国、米国が容認した場合、日朝平壌宣言から抜粋すれば、「核問題及びミサイル問題を含む安全保障上の諸問題に関し、関係諸国間の対話を促進し、問題解決」したことになります。
これは六者協議の合意を北朝鮮が履行したことにもなるため、当然日本も六者協議から脱退でもしない限り、第4回六者協議に関する共同声明から抜粋すれば、
 
「…朝鮮民主主義人民共和国及び日本国は、平壌宣言に従って、不幸な過去を清算し懸案事項を解決することを基礎として、国交を正常化するための措置をとることを約束した」
 
とある通り、平壌宣言に従った国交正常化をせざるを得ない状況に追い込まれます。米国一国の命令ですら断れない日本が、中国、ロシアも含めた3ヵ国の圧力に耐えられるでしょうか?核と強大な軍事力を持つ国連常任理事国の3ヵ国からの圧力です。
日朝平壌宣言は永遠ともとれる経済支援を約束しており、中朝や露朝国境付近の開発に弾みがつくため、中国とロシアは日朝平壌宣言に従った日本のお金に期待しています。
 
 
 
 
そんなことを微塵も知らされていない日本国民としては他国の皮算用など知った話ではありません。日本国民の生命と財産がむざむざと他国に収奪されて良いはずはないのです。日本一国と言えども、核・ミサイル問題は解決していないと声をあげ、拉致問題の解決なくして日朝国交正常化は無い、「日朝平壌宣言に記載がないのだから…」と拉致処分を促されるくらいなら、宣言を破棄して拉致問題解決を書き加えてやる、と突っぱねてやればいい。そもそも拉致問題と国交正常化は別な話なのですから、たとえ拉致被害者が帰ってきたとしても国交正常化してやる義理はないのです。
拉致問題の解決は当然の話として、国交正常化については追々考えてゆくべき問題なのだ。
 
 
 
 
  
 
 
…という考えは夢物語です。
 

日本には中国の侵略と難民問題という2つの危機が迫っています。中国の侵略に対しては米国の協力なくしては対抗できません。ここにおいて米国の協力を仰ぐためには米国の機嫌を損ねるわけにはいかず、米国が日本に要望する北朝鮮へのアメ【日朝平壌宣言に従った経済支援】を破棄するわけにはいかなくなります。
 
難民問題も違った角度から経済支援が必要とされます。難民が収容できる設備もなく、難民と難民化した工作員(工作員になりうる難民)をスクリーニングできるほどの人員も揃えられない中で、日本本土の治安が悪化していく可能性があります。難民を受け止められるだけの準備が出来ていなければ、難民の発生を抑え母国に帰ってもらうしかない。こういった理由からも北朝鮮を復興する経済支援をせざるを得ない状況に追い込まれます。国が安定していれば難民は発生しないのですから。
安倍総理拉致被害者1000人よりも日本本土1億2000万人の治安を守るために、拉致被害者を見捨てる決断をせざるを得ない状況に追い込まれるのではないでしょうか。
 
 
 
 
これらのことを考え、拉致問題解決を組み込んだうえで解決する方法がなかったわけではないのですが、今に至ってはいかんせん時間が限られており、もはやタイムリミット迎えたといっても過言ではないと思います。
日朝平壌宣言を破棄し、北朝鮮への経済支援を盛り込みつつ、拉致問題を加えた新たな宣言を打ち出せば良かったと思うのです。朝鮮半島安定化に足る経済支援を約束していれば、米国の了承は得られたのではないでしょうか。
 
 
ここに至って、拉致問題解決(日朝平壌宣言破棄)の最大の棘は、米国の命令ではないように思えてきたのは最近です。北朝鮮復興以上に膨れ上がる永遠の経済支援によって利益を得、安倍政権に圧力を加えられるのは誰かと考えると経済界です(中国の意向を含む)。アンタイドローンによる経済支援で懐を温められるのは外務官僚も同じですが、安倍総理がサスピシャスガイ・田中均と喧嘩を出来るくらいなのですから、外務官僚が妨害工作をすることは出来ても圧力を加えられるほどではないと思います。
北朝鮮への経済援助が大きければ大きいほど経済界の受ける恩恵は大きい。マスコミのスポンサーであり、公益財団法人のスポンサー(=保守言論人のスポンサー)でもある経済界が、広告料をもらっているマスコミや、支援を受けている保守言論人を黙らせることは難しいことではないようです。黙らせるといっても、平壌宣言を覆せない状況までの時間稼ぎが出来れば良いのです。
 
 
 
 
 
日朝平壌宣言に今は触れてはいけない」。
拉致問題に携わる草の根保守がこう発言することの不気味さが、輪郭を帯びてきたような思いがします。