池上彰氏が拉致被害者の蓮池薫氏と対談

池上彰氏が北朝鮮による拉致被害者蓮池薫氏初対談「非常に大きなチャンス」
 
 
 この対談を読んでみた感想です。だいぶ主観で書くので話1/4くらいに思ってください。「こういう見方もあるんだな」くらいに考えていただければ幸いです。
 また、私は今回の蓮池薫氏の発言に全面的な賛同は出来ませんが、拉致被害者という影響力の大きい立場で、悪意に侵された大手メディアでも取り上げられる表現で、拉致問題解決を訴えていると解釈しました。
(蓮池薫氏の発言の読みづらさは、この際どいバランスの上にあるようにも思えます)
 
 蓮池薫氏が北朝鮮のスパイという考えがネットに散見されていますが、兄・蓮池透氏のように分かりやすい逸脱がないので、私には蓮池薫氏まで北朝鮮側の代弁者とは言えません。
  
 

『蓮池氏は「演技だと思います。演技というよりは、これから自分たちが求めることの為にはああいう姿勢をとっていかなければ駄目だということからの演技・行動だと思います」とバッサリ。方向転換は核開発と経済発展の並進路線の行き詰まりからと分析し、「国内的には行き詰まったとは言えないため、(核開発を)勝利という形にして終わらせ経済発展という方向に向かった」と冷静に語った。』
 
 同感です。付け加えるなら、北朝鮮米朝会談にトランプ大統領が乗ってくると思わなかった、今の米国人事で米朝会談が破談になれば軍事行動もありうると恐れ、「ああいう姿勢」のバックアップで中国に下げたくなかった頭を下げた、と考えます。
 まだ核兵器を廃棄したわけでも短・中距離ミサイルを破棄したわけでもありません。北朝鮮が他に持つ米朝会談時のカードは長距離ミサイル(ICBM)です。これでも米国が容認しなかった場合、「日本人拉致問題」と「日本の経済援助」という米朝お互いが持つグレーなカードの取引になるわけです(安倍総理が交渉のすべてを米国に委ねたため、すでに日本の持つカードではなくなっている)
  
 
『「北朝鮮が非核化に動こうとする兆しが見えている。つまり、核・ミサイルの問題が解決する可能性が見えてきた。ならばそこに拉致問題さえ解決すれば、2002年の(日朝)平壌宣言がもう一回復活する可能性が出てきているわけです。だから非常に大きなチャンスが今、到来しつつある」と、拉致問題の進展に期待を込めた。』
 
 勝手な憶測ですが、蓮池薫氏は危惧という本音を隠したように考えています。以前、蓮池薫氏は拉致被害者家族の高齢化というピンチに対してチャンスとなりうる局面とし、経済援助を小出しにして少しずつ早期解決していく方法を提案されていました。
 
帰国15年 未解決の拉致問題について語る蓮池薫さん
 
 蓮池薫氏が日朝平壌宣言に触れた上で拉致問題解決の発言をしているということは、今が拉致問題の大勢の最終局面であると思います。
 
 
『「外交というのは、ギブ&テイク。力尽くではないんです。外交交渉で解決するためには、日本も柔軟な姿勢を見せなくてはならない。そういう意味では、寛大な思いで、これから日本政府がやっていくであろう交渉を応援してもらえたらという思いを伝えたかった」と語った。』
 
 ここが読み誤って欲しくないところです。左派や経済界の望む「国交正常化・経済援助最優先(ギブから始めよ)」ではありません。「国交正常化・経済援助を拉致被害者救出につなげて欲しい(ギブ&テイク)」です。日朝平壌宣言に従った経済援助は同意できるやり方ではありませんが、それはさておき、外交はギブ&テイクであることは確かです。とりわけ、この発言が敵方に都合の良い部分だけ切り取られる恐れが多分にあるだけに、必要な部分だけ読み取られて欲しいと強く思います。
 
 日朝平壌宣言の問題は、「拉致問題を過去のこととして終わらせる(国民の生命を守らない)」ことと、「日本が北朝鮮へ莫大な経済支援をする(国民の財産を守らない)」ことにあります。
 蓮池薫氏は日朝平壌宣言調印がきっかけで帰国できた拉致被害者です。日朝平壌宣言に反対を唱えられる立場ではありませんし、小泉総理を批判出来る立場ではありません。
 今回の蓮池薫氏の発言を左派、経済界、経済界をスポンサーに持つ傀儡右派やマスコミ、利権を持ちうる与野党・政治家などは巧妙に利用するでしょうが、国民の生命と財産を守る立場の我々は我々で、必要な部分を大事に読み取りたいものです。