池上彰氏が拉致被害者の蓮池薫氏と対談
この対談を読んでみた感想です。だいぶ主観で書くので話1/4くらいに思ってください。「こういう見方もあるんだな」くらいに考えていただければ幸いです。
(蓮池薫氏の発言の読みづらさは、この際どいバランスの上にあるようにも思えます)
『蓮池氏は「演技だと思います。演技というよりは、これから自分たちが求めることの為にはああいう姿勢をとっていかなければ駄目だということからの演技・行動だと思います」とバッサリ。方向転換は核開発と経済発展の並進路線の行き詰まりからと分析し、「国内的には行き詰まったとは言えないため、(核開発を)勝利という形にして終わらせ経済発展という方向に向かった」と冷静に語った。』
同感です。付け加えるなら、北朝鮮は米朝会談にトランプ大統領が乗ってくると思わなかった、今の米国人事で米朝会談が破談になれば軍事行動もありうると恐れ、「ああいう姿勢」のバックアップで中国に下げたくなかった頭を下げた、と考えます。
まだ核兵器を廃棄したわけでも短・中距離ミサイルを破棄したわけでもありません。北朝鮮が他に持つ米朝会談時のカードは長距離ミサイル(ICBM)です。これでも米国が容認しなかった場合、「日本人拉致問題」と「日本の経済援助」という米朝お互いが持つグレーなカードの取引になるわけです(安倍総理が交渉のすべてを米国に委ねたため、すでに日本の持つカードではなくなっている)。
『「北朝鮮が非核化に動こうとする兆しが見えている。つまり、核・ミサイルの問題が解決する可能性が見えてきた。ならばそこに拉致問題さえ解決すれば、2002年の(日朝)平壌宣言がもう一回復活する可能性が出てきているわけです。だから非常に大きなチャンスが今、到来しつつある」と、拉致問題の進展に期待を込めた。』
勝手な憶測ですが、蓮池薫氏は危惧という本音を隠したように考えています。以前、蓮池薫氏は拉致被害者家族の高齢化というピンチに対してチャンスとなりうる局面とし、経済援助を小出しにして少しずつ早期解決していく方法を提案されていました。
『「外交というのは、ギブ&テイク。力尽くではないんです。外交交渉で解決するためには、日本も柔軟な姿勢を見せなくてはならない。そういう意味では、寛大な思いで、これから日本政府がやっていくであろう交渉を応援してもらえたらという思いを伝えたかった」と語った。』
ここが読み誤って欲しくないところです。左派や経済界の望む「国交正常化・経済援助最優先(ギブから始めよ)」ではありません。「国交正常化・経済援助を拉致被害者救出につなげて欲しい(ギブ&テイク)」です。日朝平壌宣言に従った経済援助は同意できるやり方ではありませんが、それはさておき、外交はギブ&テイクであることは確かです。とりわけ、この発言が敵方に都合の良い部分だけ切り取られる恐れが多分にあるだけに、必要な部分だけ読み取られて欲しいと強く思います。