~拉致被害者を返すメリット、返さないデメリットを圧力に転換するために~

これまで述べてきたことは要約すると、
  1. 北朝鮮の望みは日本の経済支援
  2. 拉致被害者の帰国では目的の達成に不確定要素(日本国民の怒りによる頓挫)がある
  3. 平壌宣言自体が破棄されたわけではない(有効である)
  4. アメリカに認めさせることが出来れば日本を動かし打開できる
 
上記となります。援助の約束自体が有効、拉致問題については(北朝鮮の姿勢としては)「残りは死亡」で決着済み、あとは「…核問題及びミサイル問題を含む安全保障上の諸問題に関し、関係諸国間の対話を促進し、問題解決を図る(平壌宣言より抜粋)」ことが出来れば良い。アメリカとの基本的な合意が出来れば、日朝国交正常化を推し進める圧力をアメリカにかけてもらえばよいでしょう。六者協議にて核・ミサイル問題解決の交換条件として「日朝平壌宣言に基づく経済支援を約束」しているのですから(ここが日本政府として平壌宣言を破棄できない最大の理由と思われる)
核・ミサイル問題さえ解決してしまえば、六者協議参加国に対し、「核・ミサイル問題が解決したのに日本が経済支援を始めてくれない」と圧力を促すことができます。アメリカに対し「日本が約束した経済支援(円借款の部分)はアンタイドローンで、入ってきた金の使い道は我々に権限があります。米国企業の受注を約束しましょう。日本に圧力をかけてください」と持ち掛けることも可能です。米国経済の立て直しを悲願とするトランプ政権は飛びつくかもしれません。今のままでは日本は外圧によって国交正常化を余儀なくされるのが目に見えています。だからこその日朝平壌宣言破棄です。経済支援の約束自体を破棄することで北朝鮮は約束された希望を失うことになります。破棄を仄めかしただけでも絶大な効果がある、とされているのはそのためです。
ただしそれだけでは不十分。日本政府には拉致被害者、とくに特定失踪者を含めた確定情報が少ないのです。北朝鮮を自発的に動かさなければならないため、強力に促す宣言内容に書き改めるべきです。少なくとも、新しい平壌宣言には拉致問題の記載と、隠蔽に対するペナルティが必要なのではないでしょうか。