~日本政府の最優先は拉致問題ではなく日朝国交正常化~
はじめに
私は横田めぐみさんは生きている、という前提に立っています。亡くなったという証拠が無く、日本政府の方針も生きているという前提だからです。
その上で、日本政府に対して強い疑い(というか確信)を持っています。日本政府は拉致問題が最優先ではなく、日朝国交正常化が最優先なのではないか。
2002年、小泉訪朝・日朝平壌宣言調印にも関わらず、日朝国交正常化を止められたのは、横田夫妻による、めぐみさんを取り返すという強い抵抗に日本国民が同調したからです。ゆえに、横田めぐみさんが帰ってこない限り、日朝国交正常化は出来ないはずでした。
一方、北朝鮮の回答はブレることなく、「横田めぐみは亡くなった」という回答です。横田めぐみさんは亡くなっている、もしくは北朝鮮側に帰す気が全くない、ということになります。ここで整理すると、
日本国民の要望「横田めぐみさんが帰ってこなければ日朝国交正常化はありえない」
上記より、日朝国交正常化はあり得ないということになります。
ここで話を戻し、日本政府が最優先する日朝国交正常化をなし得るためには、
①拉致被害者の死亡を発表した上で、強硬に日朝国交正常化をする
②日本国民や拉致被害者家族を騙し、「国交正常化の後に拉致被害者が帰ってくるのだ」という方向に持っていく
どちらかが考えられます。
①を選択した場合
日本国民のナショナリズムが爆発するので、日本政府としては出来れば避けたいでしょう。それでも最悪の場合はやります。日朝国交正常化は、米国・中国・経団連トップなど、安倍総理にとって日本平民よりもずっと大事な方々からの命令ですので。
②を選択出来る場合
国交正常化してしまえばこっちのものです。いくらでも有耶無耶に出来ます。
「北朝鮮には資源がある。赤の他人の生存よりも、経済発展でみんなで恩恵を受けた方が良いじゃないか」
保守系の方には分からないでしょうが、自称リベラルの地道な活動が実を結び、個人主義が浸透した日本国民にはけっこう受け入れられると思います。
…そんなわけで日本政府は出口論を検討しています。ニュースソースを引っ張ってこようとしましたがリンク切れかな?日本政府が出口論を検討しはじめたのは今年の4月と書いてあったような気がします。見つけた当時は引用ツイートしていましたが、探すのも一苦労です。
(2020.0517)→ありました。yahooニュースは削除されていましたが、大元の47NEWS?では残っていました。見つけてくれた山猫さん(@yamaneko336)、ありがとうございます。
this.kiji.is>重要なのは、この場で拉致問題「出口」論が議論されたことだ。これまでは、拉致問題は日朝交渉において「入口」だった。拉致問題を進展、解決させて初めて国交正常化に至る。「拉致問題の解決なくして国交正常化なし」が揺らぐことのない、一貫した政府方針だった。これをゼロベースで検討し直そうという議論があったというのだ。
>安倍首相は結論を出さないままだったが、拉致問題の進展を条件とせずに日朝首脳会談の実現を目指していく方針のアウトラインはここで出来上がったとみていい。
安倍総理べったりの言論人は、日朝平壌宣言に批判を唱えることは禁止されています。安倍総理が拉致よりも日朝国交正常化を優先していますので当然です。また、拉致活動家から平壌宣言破棄の声が上がることを抑えるため、安倍ちゃん保守言論人は拉致運動家も押さえこんでいます。
いずれ救う会や奪還ツイキャスといった拉致界隈からも、出口論の声は上がるでしょう。
権力を持った偉い人達が決めたことなので、拉致被害者が帰らず、日朝国交正常化が行われ、増税(もう消費税上がりました)と北朝鮮援助が行われることに変わりはないでしょう。我々平民には覆すだけの力はありません。けれども、正確に認識し、正しく反対を表明しておこうじゃないですか。どうせ倒れるなら前のめりで倒れましょう。拉致されて殺されるのも、北朝鮮援助のために恩恵のない増税で苦しむのも、我々平民なのですから。
~運まかせの拉致被害者救出にもう一歩を~
米朝会談が不調に終わりました。日本政府が米国任せの現状ですので、これは幸いなことです。制裁解除となれば一気に日朝国交正常化の流れへ持っていかれ、拉致問題は小さく吹き飛ばされていたかもしれません。とはいえ、日本政府が米国任せで、金正恩政権のままであれば、拉致問題に進展はないでしょう。
現状の日本政府の対応のままで拉致問題に好機がみえるとすれば、北朝鮮でクーデターが起きることを祈るしかありません。これはオバマ政権時までの日米の対応でした。
「金正恩政権とは会話にならない。経済制裁によってクーデターを促し、新政権と核・ミサイル・拉致問題について話し合う」
現在、北朝鮮では経済制裁により、上層部からも金正恩政権への不満が高まっています(奇しくもトランプ政権が強めた北朝鮮経済制裁によるものなのですが。それまでの政権とは違った対中強硬のトランプ政権だったが故に、効果が高まった経済制裁でした)。あと一歩でクーデターが起こりそうな雰囲気です。どうせ日本政府に国民の生命も財産も守る気はないのですから、あとは運まかせで北朝鮮クーデターを祈りましょう。北朝鮮新政権になればなにか良い事があるかもしれません(運が良ければ)。
3月1日、金正男の息子・金ハンソル氏を保護している「千里馬民防衛」という団体が、「自由朝鮮」と改称、臨時政府を発足させました。金ハンソル氏を擁立しているということは、金日成・金正日の流れを組んだ正統性があります。
金正男氏息子を救援した団体が「臨時政府」発足を発表 正恩政権の弾圧に対抗 北朝鮮
で、この団体。「金正恩独裁体制の打倒を訴え」、「脱北を支援する団体であり」、「脱北者に結束を呼びかけ」、「人権を尊重し、北朝鮮人民を代表する単一で正当な組織だと主張」しています。それなら拉致被害者の脱北を支援してくれるかもしれませんし、拉致被害者は死んだとする金正恩政権を打倒することは日本にとっても共闘できるイシューではありませんか。
3月1日に臨時政府を発足しているので親日とは限りませんが、手を組めるところは組めばいいのです。現状、日本に対して何も譲歩しない金正恩政権よりはよほどマシです。
「拉致被害者の脱北をしてくれるなら支援する」と表明しても良いですし、「金正恩政権と自由朝鮮のどちらを日本が正当な北朝鮮政府とするか?拉致被害者を多く帰してくれる人道的な方を日本は支持するだろう」と揺さぶっても良いと思います。このくらい揺さぶれば表では反発、水面下では交渉が活発化すると思うのですが。
で、我が国安倍政権のこの団体に対する対応です。
マレーシアで殺害された金正男氏の息子を支援しているとされる組織が北朝鮮「臨時政府」樹立を宣言したことに関し、「(情報は)承知しているが、コメントは差し控えたい」と述べた。その上で「引き続き北朝鮮に関する各動向について重大な関心を持って情報収集に努めていきたい」と語った。
噂は聞いています、警戒しながら動向を注視します、ということでしょうか。たぶん何もしないでしょう(なんか仕事しないベテラン上司の営業日報みたいだ)。
~拉致処分に踏み切った日本政府の圧力~
救う会 全国協議会
http://www.sukuukai.jp/report/20190217/20190217_00.html
②拉致被害者の帰国以外何も求めていない
③日本との首脳会談が実現しなかったことは残念
④安倍首相は「…相互不信の殻を破り、次は私自身が金正恩委員長と直接向き合い、…北朝鮮との不幸な過去を清算し、国交正常化を目指します。」と施政方針演説で述べた。
⑤帰ってきた拉致被害者から秘密を聞き出して国交正常化に反対する意志はない
⑥(強調して)家族会は拉致被害者と静かな日常生活を送ることを切望、救う会もその実現を日本政府に求めるだけ。
⑦金正恩委員長に訴えている
パッと読んだ印象で、今までのような北朝鮮と戦うといった雰囲気ではなく、疲れと懇願に満ちた文章が北朝鮮の指導者に向けられています。平たく言って降参。被害者家族のすべてが同意しているとは言いませんが、文章としては、完全に気力と判断力が失われています。ソースは拾いきれなかったのですが、「生死を問わないので知りたい」という言葉に、震災での行方不明者家族と姿が重なりました。
さて、先に挙げた気になった点を一つ一つ考察します。
①全拉致被害者の即時一括帰国
安倍総理が過去に発言している通り、日本政府は拉致被害者のすべてを把握してはおりません。かなりの数を把握してはいるものの、中途半端に公開して取り戻せなかった時のリスクを考えた結果からか、安倍政権としては特定失踪者については言及しておりません。ゆえに「全拉致被害者」とは認定拉致被害者を指し、特定失踪者を含んでおりません。「家族会という日朝国交正常化の阻害要因」を優先的に丸め込んだ結果、「認定拉致被害者」と「特定失踪者」の分断が(結果的に)起きてしまいました。まずここで特定失踪者が処分されたということです。
②拉致被害者の帰国以外何も求めていない
①と関連するのですが、2002年に日朝平壌宣言を結んだにも関わらず、国交正常化できなかった原因は、認定拉致被害者家族の抗議があり、それを受けた国民の反対があったからです。「帰国以外何も求めていない=国交正常化の妨げとなるようなことはしない」という誓約だと思いました。
③日本との首脳会談が実現しなかったことは残念
この文言が入ったことは、首脳会談で拉致問題が進展することを期待した被害者家族の気持ちもあるでしょうが、イマイチ正直な表現に受け取れませんでした。
④安倍首相は「…相互不信の殻を破り、次は私自身が金正恩委員長と直接向き合い、…北朝鮮との不幸な過去を清算し、国交正常化を目指します。」と施政方針演説で述べた。
③と関連するのですが、北朝鮮が日本に期待する援助を持ち出しても、北朝鮮は首脳会談には乗ってきませんでした。これは北朝鮮が安倍総理を信用していないからです。そのため北朝鮮は日朝二国間の協議においてではなく、米国経由の圧力で経済援助を引き出すことにしました。
⑤帰ってきた拉致被害者から秘密を聞き出して国交正常化に反対する意志はない
家族が帰ってきても他の拉致被害者情報を聞いたりしない、他の拉致被害者救出に使わない、他の拉致被害者が救出されていないからといって国交正常化に反対したりしない、という誓約だと思いました。これ自体も誓約なのですが、深読みすれば、先に帰国した拉致被害者に対するけん制も兼ねていると感じました。「帰国する・帰国した拉致被害者に、余計な(政治的な)手出しはさせません」という誓約。
⑥(強調して)家族会は拉致被害者と静かな日常生活を送ることを切望、救う会もその実現を日本政府に求めるだけ。
⑤を強調して、「2002年の時の様に国交正常化の妨げになるようなことは致しませんから、どうか家族を帰してください」という懇願。
⑦金正恩委員長に訴えている
北朝鮮は金政権による独裁国家ですので、形式上、一番偉いのは金正恩です。その金正恩を立てた表現であることは本件目的においては必要なのでしょう。しかし実際には金正恩が一番偉いとはいえない、とは考えておいて欲しいです。一番偉いのであれば反対勢力もいないし、おびただしい粛清もありません。一番強い支持勢力の神輿ともいえます。カリスマ性を集中させて、国内に対しても、国外に対しても、交渉力を持たせるというのは一つの手法です。話を戻しますが、金正恩の一存で全てを決められるわけではありません。
いずれ家族会が抑え込まれる結果になる、とは思ってはいたので想定していたほどのショックではありませんでした。背景が気になるところです。
…これか。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190220-00000148-jij-pol
「首相は拉致被害者の家族と19日に面会したことを説明し、拉致問題での日本の立場を北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長に直接伝えるよう要請した。」
要するに17日の家族会・救う会の発表は、安倍政権による、
「家族会を抑え込みましたよ」
「今度は本当に国交正常化もやりますよ」
「いや、今度は本当だから!だって見たでしょ17日の家族会の発表を!?あれ私の成果ですよ!褒めてよ!よくやったでしょ?」
「Trust me!」
「Try me~私を信じて~」
「未来志向の日朝のドアを開く勇気 届けたい 誰より 熱く…」
…という、金委員長へのメッセージでもあったのです。「もう裏切ったりしないから、とにかく会ってよ!」というメッセージ。それにしても北朝鮮はすごいですね、会ってやるだけで拉致問題で勝利し、国交正常化を促し、経済支援を手に入れるのですから。
最後に、安倍政権から家族会へどんな圧力があったのか、勝手な想像です。
~怪しいホシュ言論人・山村明義氏~
~逆から考える拉致問題、日朝国交正常化②~
【特定失踪者は存在を黙殺し、取り戻せてから認定する。取り戻せなかった特定失踪者は存在しなかったことにする】
前回は日朝国交正常化にあたり、安倍政権が認定拉致被害者についてどう決着をつけるかを考えてみました。今回は特定失踪者についてです。
1000人近い特定失踪者の中には、認定拉致被害者と遜色ない証拠がありながら政府認定されていない人から、拉致の可能性が否定できない人まで様々です。すべての拉致被害者の確実な証拠は、拉致被害者を手中に収める北朝鮮にあります。それゆえ私はブログで、「北朝鮮が自発的に拉致被害者を帰さなくてはならない方法」「全員帰国まで持続性を持って交渉可能な方法」を模索しました。
特定失踪者を全員帰してもらうことは非常に困難なことです。が、逆に、特定失踪者を諦めることは容易です。認定していないのですから、「いなかった」ということにすればよい。限りなく黒に近い証拠はあっても、「いなかった」ことにすればよいのです。
などでしょうか。上記のような出来事が起これば、他の多くの特定失踪者が「思い込み」として世間の関心から失われていきます。私は特定失踪者の中から、日本国内で発見される人が出てくるのではないかと危惧しています。
3年近く前に、こんなニュースがあったことを覚えてますでしょうか。
この51歳の男性が北朝鮮に拉致されていたとまでは断定しませんが、国交正常化間近になり、拉致問題の関心が再浮上するときに、上記と同じようなニュースが報道されれば拉致問題は追及しづらくなり、世間の関心は低下します。
また、これまで日本政府が拉致に関する情報を公表してこなかったことも、拉致問題を葬り去ることに寄与しています。
『拉致被害者の命は北朝鮮が握っている。どんなに圧力を掛けようが、帰すか帰さないかは北朝鮮の判断でしかなく、下手に情報を公表し、拉致被害者認定し、その上で取り戻すことが出来なければ、国民の反対の声が大きくなってしまって国交正常化どころではなくなってしまうため、情報は出さないことにする。
今の安倍政権の目標は、「一人でも多くの拉致被害者を取り戻すこと」ではなく、「一人でも多くの取り戻せなかった拉致被害者が出ないこと」なのです。下記にもう少し分かりやすく書いてみます。
①日本政府が拉致問題において積極的に交渉
②の方が、国民感情としては国交正常化のハードルが低いと思います。
『特定失踪者も数十人取り戻せた。これは水面下の交渉の結果だ。今後は国交正常化後、現地調査などを重ねてさらに取り戻すという、安倍総理の秘策があるらしい。莫大な経済援助も、北朝鮮をコントロールするためだ。こちらの思惑通りに事は進んでいる。惑わされずに安倍政権を支持していこう。安倍総理の他に誰がいる?』
こんな感じでいかがでしょうか。
蓮池薫さん「拉致被害者帰国へ政府の戦略と世論の支持を」
~李明博、北朝鮮の復興は日本に金を出させる~