~拉致問題はどのような終焉を迎えるか~
皆さんは手に負えないクレーム対処をしたことはあるでしょうか。顧客の要求が会社の譲歩の範疇を超えるようなクレームで、かつ、感情的になり過ぎていて説得のための対話にもならないような状況です。
これの対処方法の一つとして、対応窓口を段階的に設置し、窓口を登るたびに「譲歩・沈静化・説得」する方法があります。
・最初の窓口で要求と原因を聞き出し、全てをお断りする
・次の窓口にバトンタッチするまでに、可能な対処方法の捻出と譲歩を用意する
・次の窓口で「譲歩・沈静化・(捻出された対処方法による)説得をおこなう
上記を繰り返す方法です。通常は2段階目での対処がベターで、最低でも3段階目で決着をつけたいところです。あまり譲歩の場数を踏ませると、要求が高度化しかねないためです(譲歩を繰り返すと不満が欲に変質するため)。
さて本題ですが、拉致問題はどのような終焉を迎えるのでしょうか。
拉致被害者全員の帰国が達成されず、北朝鮮への援助が始まることに対する日本国民のクレームを、日本政府が受け流す方法を提案してくれちゃっています。北朝鮮問題の見通しが暗くなるにつれて、飯島参与は饒舌になっていきますね。
飯島参与の提案をざっくりと表すと、
・拉致被害者全員を取り戻すという政府大方針に矛盾する情報を出されたら政権がひっくり返ってしまう
・日本が思い描くようなキレイごとで進むわけがない
・安倍首相に厳しい情報が行く前に、誰かが泥をかぶって世論から叩かれてガス抜きを演じる悪役を買って出なきゃならない
・場合によっては米国ともやり合わなきゃいけない
こんなことを言っています。
北朝鮮援助が早く始まって欲しい飯島参与のスタンスを踏まえて読み解くと、
①拉致被害者全員は帰らない
②初手、安倍首相で敗北宣言をすると国内が紛糾してまとめられない。だから安倍首相の前に、ガス抜きの交渉人を入れるしかない
③米国の出方次第では抵抗しなければならない
④総裁選三選の3年を使っても米朝ロードマップはずっと先のこと。安倍首相が任期中に目途を付けたいのであれば、国民の怒りを風化させるためにもガス抜きの交渉人を早く立てて欲しい
こんな感じでしょうか(個人的な考えなので話半分で)。③が難しいところですね。
飯島参与の言う③は「拉致問題を解決したい側の考える米国への抵抗」ではありません。「拉致問題を処分したい(国交正常化を優先したい)側から米国への抵抗」をしなければならない場合も考慮しているということです。
日朝国交正常化が上手くいきそうなときに米国の方針が圧力に変わったり、あるいは、あんまりあっさり拉致被害者を見捨てる態度を取った時に「あそこまでシンゾーが訴えていた拉致問題とはいったいなんだったんだよ?(ひとこと言っておかないと米国としても立つ瀬が無くなりかねないから念のためな?)」と言われたときのためのことを指していると私は解釈しました。
飯島参与の提案する「泥をかぶる役」。果たして誰が担うのでしょうか。いくつか考えられるのは、
・北朝鮮に認められており、訪朝が可能
・公職経験者であり知名度もそれなりにある
こんなところでしょうか…。
いずれにせよ、汚れ役が最悪の状況を伝えられたにも関わらず、北朝鮮を賛美して叩かれた後、満を持して安倍首相登場。拉致問題を前進させて(完全解決ではないけれども溜飲が下がった雰囲気の中で)国交正常化へ…という構想が検討されているようです。